ディマティーニメソッドと脳の可塑性
ディマティーニ・メソッドの開発者の、Dr.ディマティーニに、
「ディマティーニ・メソッドが、
脳のシナプス可塑性(かそせい)にどう役立つか、教えてください」
と質問しました。
今日の記事は、そのときに、Dr.ディマティーニが教えてくれた内容を、
私自身がきちんと理解する目的のために、まとめたものです。
とても興味深い内容ですので、少し長い記事ですが、
お読みいただけたらと、思います。
目次
「善悪の判断」は「意識」と「無意識」を分割する
実は、以前の、私は、奥さんから批判されると、
感情のコントロールを失っていました。
扇風機を思いっきり振り上げて、
ベッドに叩きつけ、ぶち壊す。
そういうことを、繰り返していたんです。
(ぜんぶで4台の扇風機を壊しました・・・)
このとき、私の、マインド(思考)と、
脳の中で、何が起きていたのか、
実は、脳科学で、説明することができるんです。
奥さんから、批判をされた瞬間、
私は、それを「悪いこと」だと、「判断」(ジャッジ)した。
私たちは、「これは良いこと」「これは悪いこと」
というように、”善悪の判断”を四六時中している。
他人の行動や、特性、または、出来事について、
良い・悪いの判断をした瞬間、私たちの、認識機能は、
(顕在)意識と、無意識に、分割されてしまう。
例えば、
私がお金のことで、奥さんから批判された瞬間、
それを悪いことだと、ジャッジすると、
「批判されることのマイナス面」だけが、「意識」に残って、
「批判されることのプラス面」は、「無意識」の方に、落ちて見えなくなる。
こんな風に、”自分の認識の中で、意識と無意識の分割が起きる”から、
ものごとのマイナス面か、プラス面の、
どちらか片方しか、見えなく(認識できなく)なるんです。
「事実」は主観によって、ねじ曲げられる
でも本当は、他者のどんな行動も、人生に起きるどんな出来事も、
プラス面とマイナス面がまったく同じだけあり、
すべては、「愛」(プラスとマイナスが統合されたニュートラルな状態)
であるというのに。
良い・悪いの判断をした瞬間に、
「事実」(実際に起きたこと)は、
「私の主観」というフィルター(バイアス)によって、
ねじ曲げられてしまう。
つまり、良い・悪いの判断によって、
事実とはまったく異なる解釈(ストーリー)を、
事実と、思い込んでしまうということ。
こんな風にして、マインド(思考)は、
偏ったものの見方・捉え方(主観的なバイアス)を
することで、それを「善か悪か」(白か黒か)に、
決めつける、ということを、四六時中やっている・・・。
脳の可塑性 グリア細胞のミエリン化
実は、このとき、脳の中でも、ドラスティック(過激)な
変化が起きているんです。
良い・悪いの判断をした瞬間、
不安や恐怖などの感情を司っている、脳の「扁桃体」という部分に、
酸素や血糖、ブドウ糖といった「栄養」(エネルギー)が、
優先的に、ドバッと、送られるようになる。
すると、「扁桃体」が活性化してしまう。
で、
”グリア細胞のミエリン化”と呼ばれる現象が起きてしまうんです。
おっと、急に難しい用語が・・・。
これは、
神経の電気信号(神経パルス)の伝達スピードが、
劇的に、強化される、脳の変化のこと。
かんたんにいうと、
「扁桃体」につながる、神経細胞の、電気の通りが
よくなりすぎることで、「扁桃体」が必要以上に、
活性化してしまうのです。
ちなみに、インプットされた情報(行動や環境)によって、
脳が変化することを、「シナプスの可塑性」(神経の可塑性)といいます。
脳は、外部からのインプットによって、常に、変化しているんです。
「扁桃体」の活性化は、人間を動物にする
こんな風に、良い・悪いの判断をした瞬間に、
「扁桃体」に、エネルギーが大量供給されて、
過剰反応するように、活性化してしまう。
そして、「扁桃体」が活性化すると、
人は、動物のように、ただ反応して、生きるようになってしまうのです。
感情に、振り回されて、一喜一憂するってこと。
主体性も、自制心も失い、
外側からの刺激に、ただ感情的に、反応するだけの、
受け身の生き方です。
動物って、そんな風に、ただ刺激に、反応して生きてますよね。
人間みたいに、自らの意思で、主体的に、行動したりはしない。
奥さんの批判(外部からの刺激)によって、
ブチギレて、扇風機を叩き壊したときの私の行動がまさに、
動物的な(情動の)反応に、ほかなりません。
とほほ・・・。
ちなみに、
「扁桃体」は、「生存」(サバイバル)に関わる部位で、
原始的な脳とも、呼ばれているんです。
つまり、「扁桃体」が活性化するということは、
人間が、動物に、成り下がってしまうということ。
まさに、退化・ブレイクダウンです。
感情に飲み込まれて、扇風機を叩き壊す私は、
サルそのものだわ・・・(苦笑
二足歩行の人間と四つ足の動物の違いは「前頭葉」
しかも、
「扁桃体」に、「栄養」(エネルギー)が集中的に送られてしまうと、
「前頭葉」に、栄養が届かなくなって、前頭葉が、衰退・老化してしまう・・・。
人間が、動物と、違うのは、思考や創造性を司る、「前頭葉」が発達しているから。
つまり、ヒトをヒトたらしめている、”脳の最高中枢”が、衰退することは、
”人間失格”を意味するのです・・・。ガーン。
Dr.ディマティーニは、良い・悪いの判断による、
偏ったマインド(思考)を、「イミネント・マインド」(imminent mind)と呼んでいます。
イミネントは「差し迫った」という意味ですが、
これは、四本足で地面にへばりついた、動物のように、
”視点が低く、極めて視野が狭い”ことを、意味しています。
だから、良い・悪いの判断を繰り返すと、
二足歩行の人間から、四つ足の動物に、退化してしまうというのです。
これが、良い・悪いの判断を繰り返して、
「扁桃体」を活性化させ、「前頭葉」を退化させてしまうことの代償・・・。
ああ、そんな人間失格の、私は、いったい、ぜんたい、
どうしたら、いいのでしょう?・・・
ディマティーニメソッドと脳の神経可塑性
実は、ここで、ディマティーニ・メソッドの出番なんです!
ディマティーニ・メソッドを使うと、
良い・悪いの判断(ジャッジ)をした瞬間に分割された、
(顕在)意識と無意識を、一つに、統合することができる。
すると、他者の、行動や特性、その出来事の、
プラスの面と、マイナスの面が、一度に、両方、見える、(認識できる)ようになるんです。
私のケースだと、奥さんに批判されることの、
デメリットとメリットの両方を、見られるようになる。
すると、心理・精神的な「ホメオスタシス」
(恒常性=バランスを取ろうとする作用)が、回復するんです。
で、
脳内で、再び、劇的な変化(シナプスの可塑性)が、起きる。
「前頭葉」に、優先的に、
酸素、ブドウ糖、血糖といった栄養(エネルギー)が、
送られるようになって、
今度は、「前頭葉」で、”グリア細胞のミエリン化”が、起きてくる。
かんたんにいうと、
「前頭葉」につながる、神経細胞の、電気の通りが
めちゃくちゃよくなって、「前頭葉」がパワーアップするということ。
例えるなら、
”アムロの反応速度に、ついていけなくなったガンダムに、
マグネット・コーティングの処理をして、
反応速度を、劇的に、向上させるようなもの。
(ファースト・ガンダム第40話)
この例えは、
40才以上の男性にしか、わからないかも(苦笑
脳の最高中枢「前頭葉」が進化することの報酬
ディマティーニ・メソッドによって、
ものごとの、両面が見られるようになると、
「前頭葉」は、活性化し、ブレイクスルーを起こす。
同時に、「扁桃体」にエネルギーが送られなくなり、
「原始の脳」は、衰退、退化していく。
これぞ、まさに、進化・覚醒です。
すると、動物のように、外部の刺激に、反応して生きるのではなく、
自らの、意思で、主体的に、自分をコントロール(自制)して、
生きられるようになる。
例え、困難な状況に遭遇したとしても、
レジリエンス・順応性を発揮して、
自分の力で、困難を乗り越えられるようになる。
つまり、外側の状況や、他人の行動に支配される、
”従属的な、被害者の、生き方”から、
”自らの、人生の主人(マスター)として、自己実現する生き方”へと、
シフトするということです。
ディマティーニさんは、
ものごとの、プラス面とマイナス面の両方を見る(認識する)ことができる、
バランスの取れたマインド(思考)のことを、
「ハイヤー・マインド」(高次のマインド=higher mind=)と呼んでいます。
これは、前に書いた、「イミネント・マインド」と対になるもの。
まるで、神様が上からものごとを見ているかのように、
”視点が高く、極めて視野が広い”ことを、意味しています。
これが、ディマティーニ・メソッドによって、
脳の神経可塑性を活性化し、
脳の最高中枢「前頭葉」を、進化させることの、報酬なのです。
脳を書き換えると、人生が変わる
もちろん、こうした脳の変化を起こすには、繰り返し何度も、
ディマティーニ・メソッドに取り組み、努力する必要があるでしょう。
事実、ディマティーニ・メソッドで、人生を大きく変えた人たちは、
メソッドに、繰り返し、何度も取り組んで、
シナプスの可塑性を活性化し、
”自分の脳を書き換えた人たち”です。
ちなみに、科学研究では、高齢者であっても、
シナプスの可塑性が機能することがわかっています。
つまり、脳を書き換えて、
人生を変えるに、年齢は関係がないということ。
ディマティーニ・メソッドを始めるのに、
遅すぎると、いうことは、ないのです。